犬の薬膳ごはん(薬膳ドッグフード)って「何それ?」と思いませんか。
「薬膳」って聞くと、中国の秘伝書とかに載っている特殊な薬草とか朝鮮人参とか乾燥した何かの実とかで作った食事が出てくるイメージがありますよね。
そうなんです、わたしもそういうイメージを持ってました。
でも思ってるより作るのって簡単なんです。
この記事では、愛犬にあげる「薬膳ごはん」が簡単にできる考え方についてお伝えします。
薬膳ごはんが良いと気づいたきっかけ
ある日、衛星放送の旅番組でタイトルはうろ覚えなんですが、「料理家〇〇が行く中国〇〇省 薬膳の旅」というのをボーッと見てた時、中国の山深くに住む現地の人がごはんを食べるシーンが映されていたんですね。
そこに映ってる家族全員お肌がきれいで、料理家の人が「肌がきれいですね、食事って普段は何を食べてるんですか?」とインタビューしていました。
中国の山深くに住む現地の人の答えは「馬がたくさんいるのでそのお肉とごはんと畑の野菜を食べています」との事。
その時に料理家の人が「馬肉って体にいいですからね」ってコメントしてたんです。
「へぇ~、薬膳で馬肉っていいんだ」
さっそく馬肉をWebで注文しておかずとして自分の食事に取り入れてみました。
「ん?」
気のせいか翌日ぐらいから体にハリが出た気がします。
(気のせい?かもしれませんけどね。)
さらに、我が家のわんこに実際に、余った馬肉でごはんを作って何日かあげてみました。
すぐにはわかりませんでしたが、何日後かに
「ん?」
なんかキレイになったで~
(*勝手なイメージです)
確かに毛艶が改善された気がします。
そういえば、テレビで一緒に映ってた2匹の犬も山奥にいる犬と思えないほど美しい毛並みだったな・・・
なるほど。市販のフードもいいものがあるんですが、たったこれだけの手間で人も犬も実感出来てるんです。
ならば早い時期で手作りの薬膳フードに変更したほうが良いはずだと断言します。
とりあえずこの記事では、みなさん気になる部分の基本ポイントを3つ
①「薬膳とは?」
②「与えて問題なし?」
③「何を与えたらいい?」)
について、ごく簡単ですが紹介します。
薬膳ドッグフードの原材料は普通のもので作れる
結論から言うと、薬膳の犬ごはんって「原材料」をきちんと選ぶだけで大丈夫なんです。
薬膳ごはんって「原材料」が持つ「効能」を何となくでも知っていれば、本には頼らなくても簡単に手作りで作れるので安心してください。
犬の薬膳ごはんって、いつものわんちゃんに与える食事の「原材料」の「効能」を少しだけ考えて作るだけでとっても体に良い「薬膳の犬ごはん」になるのです。
では、みなさんが考える基本的な疑問を簡単にお伝えしますね。
薬膳って何なの?ちょっとだけ
『薬膳』ってなんや? 薬でも入っとんか?
『薬膳』とはそもそも東洋医学に基づいた考え方で、食(食事)を使って病気になるのを予防することを言います。
食事で予防? いつも普通のドッグフード食ってるで。
実は普段みなさんが使ってる材料(食材:野菜や肉)には、体を良くする「効能」があるんですよ。それをうまく使って作る体に良い食事ってことです。
*東洋医学では健康と病気の間に『未病』という概念があり、この段階で食事により健康に戻すのが『薬膳(食膳)』となります。
そのごはんには、何か中国の特別な香辛料とか入っとんか?
特にそういうものじゃないですよ。
そもそも香辛料とかはポチの体には悪いからね。(笑)
鶏肉とかかぼちゃとかブロッコリーとか普通の食材を使って、それぞれの体の調子に合わせて作ったごはんが最高の「薬膳ごはん」なんです。
なるほど。早よ食いた~い
『体にあった旬の食材』を愛犬にバランス良く与えることで、自然治癒力を高めると共に『病気になりにくい体質』を作り、『いつまでも元気』が続きます。
うちの愛犬に与えても問題ないの?
もちろん大丈夫です。
『効果的に食材を体内に取り込む』事で、わんちゃんの健康の維持、体質改善、病気の予防ができます。
ただ注意点として、「犬に与えないほうが良い食材」というものはありますので、それだけは気を付けてください。
【犬に与えないほうが良い食材】
ネギ類、イカ類、チョコレート、牛乳、ぶどう、豚肉、とうがらし、ピーマンなど
どんな食材を選べばいい?
今は、一年中どんな食材も手に入れようとすれば手に入るかと思います。
実際の食材選びは、薬膳で言う「五気六味」を意識した食材にすると、体に配慮された食事の材料を選べます。
またわけわからんことを!「五気六味」って何や?
「五気」とは、食材が持つ性質です。食材を「寒・涼・平・温・熱」の5種類に分類します。
<体を冷やす~体を温める>食材で分かれてます。
「六味」とは効能が臓器に効果的に効くもの別で分類してます。食材を「甘・辛・苦・酸・鹹・香」の6種類に分類してます。
<味が異なる食材>で分かれています。
何を言うとんねん!全然理解できへん!
まあまあ。とりあえず下に食材別の表を貼り付けますね。
「五気六味」に分けたものがこれです。
下の表の中身を元に、<食で体を改善>しましょう。
「五気(体温調節)」の性質について 食材表
性質 | 五気 | 食材 | 働きと適応 |
---|---|---|---|
体を冷やす | 寒性 | にがうり、すいか、豆腐、しじみ、 昆布、柿、馬肉 | 【働き】体の熱をとりのぞきます。 老廃物を排泄して便通を良くします。 【適応は】身体強健・食欲旺盛・発熱・高熱・ 顔が赤い・咽喉が渇く・便秘の様な熱証時 |
涼性 | 大根、きゅうり、セロリ、リンゴ、 緑茶、そば、オクラ、冬瓜 | 【働き】体の熱をとりのぞきます。 老廃物を排泄して便通を良くします。 【適応は】微熱・のぼせ・ほてり・手足の裏 が熱い・不眠、高熱の回復期の微熱ある時 | |
普通 | 平性 | 白菜、あずき、黒豆、キャベツ、 トウモロコシ、ごま、里芋、鶏肉、 はと麦 | 【働き】冷やすこともせず温めることもせず、 バランスを調和させます。 【適応は】はっきりした性質がないため、 合わせやくす緩和する働きがあります |
体を温める | 温性 | しそ、しょうが、栗、アジ、鮭、 ウナギ、羊肉、鶏肉、松の実 | 【働き】体を温め痛みを止め、気血の循環を 良くします。 【適応は】疲れやすい・声が低い・食欲がない・ 冷え等の気虚・寒気・発熱・身体疼痛の様な寒証 |
熱性 | こしょう、とうがらし | 【働き】体を温め痛みを止め、気血の循環を 良くします。 【適応は】冷え性・生理痛の様な体質、冷え・ 下痢・痛みなどの症状 |
「六味(味の違い)」の性質について 食材表
六味 | 食材 | 働きと適応 |
---|---|---|
酸味 | あんず、梅、ザクロ、酢、ヨーグルト | 【効く臓器】肝臓系 【働き】収斂(血管など収縮して縮める)、 固渋(出過ぎるものを抑える) 【適応は】過剰な発汗や排尿など身体から 水分が出すぎることを防ぎ、必要な水分を保ち、 唾液の分泌を促進。 多汗・慢性下痢・頻尿・慢性の咳 |
苦味 | にがうり、ちしゃ、アロエ、クワイ、 セロリ、パセリ、ピーマン、緑茶 | 【効く臓器】心臓系 【働き】清熱・瀉下(水など注ぎ下す) ・燥湿(乾かす)・解毒 【適応は】体内の湿邪を取り除く。 熱の症状やのぼせの症状軽減、便通をよくする。 発熱・ニキビ・胃もたれ・食欲不振・便秘 |
甘味 | 米、麦、粟、じゃが芋、黒豆、さつま芋、 大豆、リンゴ、梨、バナナ、砂糖、蜂蜜、 山芋、ナツメ | 【効く臓器】脾臓系 【働き】補益(不足をおぎない益を与える) ・和中(整える)・緩急 【適応は】疲れを改善し虚弱を補う、痛みを 和らげる。 疲れ・虚弱・疼痛(うずく痛み)をやわらげる。 |
辛味 | しょうが、ニンニク、唐辛子、こしょう、 ワサビ | 【効く臓器】肺臓系 【働き】発散風寒(よくないものを発散)、 行気活血(気の流れと血の流れを良くする) 【適応は】体を温めることで気血の流れを 良くする、痛みを止める。 カゼ・冷え・瘀血・疼痛 |
鹹味 | 昆布、のり、海藻、カニ、あさり | 【効く臓器】腎臓系 【働き】堅軟(固く柔らかく)・散結(できもの、 塊を解消する)・瀉下( 水などそそぎくだす) 【適応は】しこりを柔らかくし、便通を良くし、 精血(きれいな血)を生じさせる。 血虚(女性向け)・便秘・腫塊(できもの) |
淡味 | 白菜、冬瓜、はと麦 | 【効く臓器】脾臓、五臓系 【働き】滲泄(水の通り道の通りをよくする) ・開竅(意識をはっきりさせる) 【適応は】利尿効果により湿を取り除き、 消化機能を助ける。 小便不利(尿の量や回数が少なくなる)・むくみ ・下痢・腹が張る |
つまり上の表の食材の組み合わせをうまく使えば、体を寒くしたり暖かくしたり、味で体の不調を正常にするできるんです。
へぇ~、そんなことできるんや。例えばどんなこと?
もしポチが「最近、食欲なくなって元気がない」時、食べ物で元気になるのにこんな食材の選び方してみるのはどうですか。
例えばこんな感じで簡単に薬膳ごはんができますよ。
【上の表の赤字部分の食材の組み合わせ】
<鶏肉=食欲がない時に>
+
<米=疲れを改善し虚弱を補う>
+
<キャベツ=バランスを調和する>
はい、「食欲改善元気ごはん」の出来上がり!
えっ!そんな簡単に作れるんや。
やった~! 早速食うで~!
ねっ。「薬膳ごはんって簡単にできる」でしょう。
腎臓が弱ってるとか、最近食べすぎて困るとかいうときにも、「五気六味」で食材を選べば体に良いごはんがすぐに作れますよ。
ただ、世の中にはまだまだ数多くの食材がありますので上の表には代表的な食材しか載せていません。
厳密に作るとなると、作る季節(春夏秋冬)や体質、持つ病気の有無によっても選ぶ食材は変わったりします。
いやいや、「もっとシンプルな選び方を」という方のために、簡単なこういう選び方もお伝えしますね。
⇒その時期ごとの旬の食材っておいしいですよね。旬の食材って薬膳的にもとても重要なんです。
その季節でしか手に入らない食材は、その時期に食べれば体に対して最高のパワーを発揮するという考え方があります。
ならば食材の持つ力をそのまま愛犬の健康にプラスの力に変えましょう。
<食材別の効能については、今後また別記事にて掲載します>
薬膳ごはん:どれぐらいの食材比率がいい?
あげる食事を10とした場合、中に入れる食材は <お肉類:穀物類:野菜類=4:3:3> の比率をおすすめします。
犬は、肉食寄りの雑食なので、出来る限り肉類は多めのほうがベストですね。
おおざっぱな比率ですが、この割合って意外と犬に対しては黄金比のようです。
実は、最近Webでも人気のあるお肉たっぷり手作りフードとかはこの割合が多くなっています。
まとめ:薬膳ごはんは簡単にできます
どうでした。簡単でしょう。
何となくしか聞いたことがない「薬膳」という言葉。
とにかく難しそうで専門書を読みながらでないと素人には手を出してはいけないと思い込んでいたんじゃないでしょうか。
我が家の大事な家族であるわんちゃんの食事にその「薬膳」を取り入れて作ってみる。
材料の効能を気にして作って与えてみたら、今まで悩んでいたアレルギーや毛艶や肥満の改善ができた。
つまりは、飼い主である自分が、わが愛犬のたった一人の「食医」になるということ。
食の効能を気にかけて作った結果、簡単にいつもの食事が「薬膳ごはん」に早変わり。
こんな良いこと尽くしのことはないでしょうね。
うまく取り入れてわんちゃんとの健康な楽しい毎日を過ごしましょうね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。